サービス等利用計画の書き方・文例100事例|総合的な援助の方針・ニーズ・目標【障害種別・サービス別】
サービス等利用計画の各欄の書き方と、総合的な援助の方針・意向・目標のコピペ可能な文例100事例。障害種別×生活状況×サービス別に整理し、運営指導のポイントも解説します。
「総合的な援助の方針の欄、いつも同じような文になってしまう」「本人の言葉をどう計画に落とせばいいか分からない」——サービス等利用計画を書いていて手が止まる場面は、だいたい決まっています。この記事では、相談支援専門員が実際に手を動かすときにそのまま参考にできる文例を、総合的な援助の方針30例・意向/ニーズ20例・長期/短期目標30例・全体記入例3ケース(合計100事例前後)に整理しました。
文例は障害種別(知的・精神・身体・難病・児童)×生活状況(独居・家族同居・グループホーム)×サービス種別で分類しています。目次から必要な欄・種別に飛んで、コピペしてから目の前の利用者に合わせて直す、という使い方を想定しています。
ただし最初にひとつだけ。文例は「型」を思い出すためのもので、丸写しは運営指導で指摘対象になります(理由は記事後半の「文例を使うときの注意点」で説明します)。本人の言葉と具体的な生活場面に置き換えてこそ「通る計画」になる、という前提で読み進めてください。
サービス等利用計画とは(3分でおさらい)
位置づけと法的根拠
サービス等利用計画は、障害福祉サービスを利用する人が、地域で自分の望む生活を送るために、必要なサービスや社会資源をどう組み合わせるかを示した全体計画です。作成するのは、市町村の指定を受けた指定特定相談支援事業者に所属する相談支援専門員です。
法的な位置づけはこうです。市町村は支給決定にあたって、指定特定相談支援事業者が作成するサービス等利用計画案の提出を求め、その内容を勘案して支給決定を行います(障害者総合支援法 第22条)。つまり計画は、支援の設計図であると同時に「どのサービスがどれだけ必要か」を市町村に説明する根拠書類でもあります。
障害児が通所支援(児童発達支援・放課後等デイサービス等)を使う場合は、根拠法が児童福祉法に変わり、名称も障害児支援利用計画になります(作成は指定障害児相談支援事業者)。一方、障害児が居宅介護など障害福祉サービスを使う場合は総合支援法の「サービス等利用計画」を作成します。書き方の考え方は共通なので、本記事の文例は児童分野にも応用できます。
個別支援計画との違い(ここを新任は混同しがち)
現場で最も混乱しやすいのが、サービス等利用計画と個別支援計画の違いです。
| サービス等利用計画 | 個別支援計画 | |
|---|---|---|
| 作成者 | 相談支援専門員(指定特定相談支援事業者) | サービス管理責任者/児童発達支援管理責任者(各サービス提供事業所) |
| 対象範囲 | 本人の生活全体(複数サービスの組み合わせ) | その事業所が提供するサービスの中身 |
| 位置づけ | 上位計画(全体の方向性) | 下位計画(総合的な援助の方針を踏まえた具体的支援) |
| たとえるなら | 家全体の設計図 | 各部屋の施工図 |
ポイントは、個別支援計画はサービス等利用計画の「総合的な援助の方針」を踏まえて作られるという連動関係です。相談支援専門員が書く総合的な援助の方針が曖昧だと、各事業所のサービス管理責任者は方向性を共有できず、個別支援計画もバラバラになります。総合的な援助の方針の欄は、チーム全体の羅針盤だと考えてください。
作成の流れ(新規の場合)
① 相談・契約(重要事項説明・利用契約)
↓
② アセスメント(本人の居宅等を訪問して面接・聞き取り)
↓
③ サービス等利用計画案の作成 → 本人へ説明・同意(署名/記名押印)
↓
④ 市町村へ提出 → 支給決定
↓
⑤ サービス担当者会議(各事業所と方針・役割を共有)
↓
⑥ サービス等利用計画(本案)の作成 → 本人へ説明・同意 → 交付
↓
⑦ サービス利用開始
↓
⑧ モニタリング(定期的に居宅等を訪問して見直し)
この流れの中で、②アセスメントと⑧モニタリングは居宅等への訪問が必須である点、そして③⑥の作成・同意・交付の日付の前後関係は、運営指導でよく見られる箇所です(詳しくは「運営指導でチェックされるポイント」の章で解説します)。
なお、サービス等利用計画は本人・家族が自分で作成する「セルフプラン」も制度上は認められています。相談支援専門員が入る意味は、第三者的な視点で最適なサービスの組み合わせを提案し、事業所間の調整や定期的なモニタリングを担える点にあります(FAQ⑤で後述)。
各欄の書き方の「型」とNG例
文例に入る前に、各欄に共通する「型」を押さえます。ここを理解しておくと、後半の文例を自分のケースに置き換えるのが一気に楽になります。
書き方の基本は、どの欄も次の3ステップです。
- 本人の言葉を起点にする(アセスメントで聞き取った「〜したい」「〜が困る」)
- 相談支援専門員が捉え直す(言葉の背景にある希望・課題を専門的に翻訳する)
- 到達したい状態として言い切る(本人が主語。「〜させる」ではなく「〜できるようになる/〜して過ごす」)
以下、欄ごとに「型」とNG例を対比します。NG例は、運営指導でも「初めて計画書を見た人が本人の生活をイメージできない」「『安定した生活をしたい』など抽象的な表現にとどまっている」といった形で実際に指摘されやすいパターンです。
① 利用者及び家族の生活に対する意向(希望する生活)
型:本人の言葉をできるだけ活かしつつ、「どんな暮らしを送りたいか」が具体的な生活場面として浮かぶように書く。本人の意向と家族の意向は分けて書く。
| 例 | |
|---|---|
| ❌ NG | 「安心して地域で生活したい。」 |
| ✅ OK | 「(本人)平日は就労継続支援B型に通い、好きなパンづくりの作業を続けたい。休みの日は一人で近所のスーパーまで買い物に行けるようになりたい。(母)本人のやりたい気持ちを大事にしたいが、金銭管理だけは急に一人では不安なので、少しずつ練習させてほしい。」 |
NGは誰にでも当てはまり、本人が消えています。OKは「パンづくり」「近所のスーパー」「金銭管理」と場面が具体的で、支援の焦点が自然に見えてきます。
② 総合的な援助の方針
型:本人が望む生活を実現するために、チーム全体がどの方向を向くかを示す。「本人が〜できるよう、〜という視点で、(誰が)〜の役割を担いながら支援する」の骨格で書くと、各事業所と共有しやすくなります。
| 例 | |
|---|---|
| ❌ NG | 「関係機関が連携し、安定した生活が送れるよう支援する。」 |
| ✅ OK | 「『働き続けたい』という本人の思いを軸に、まずは体調の波と折り合いをつけながら通所リズムを整えることを当面の重点とする。就労継続支援B型事業所は作業量を体調に合わせて調整し、医療機関は服薬・通院を支え、相談支援専門員が全体の進み具合を1か月ごとに確認する。半年後をめどに、本人が自分で『今日は無理をしない』と判断できる状態を目指す。」 |
NGは「連携」「安定」という言葉だけで、誰が何をするのか、どこへ向かうのかが分かりません。OKは重点・役割分担・時間軸・到達状態がそろっています。
③ 長期目標・短期目標
型:長期目標は1年程度で目指す本人の暮らしの姿、短期目標は3〜6か月で達成を確認できる具体的・測定可能な状態。どちらも本人が主語で、達成したか判断できる言葉にする。
| 例 | |
|---|---|
| ❌ NG(短期) | 「生活リズムを整える。」 |
| ✅ OK(短期) | 「週4日以上、決めた時間に事業所へ通所できる状態を3か月続ける。」 |
| ❌ NG(長期) | 「自立した生活を送る。」 |
| ✅ OK(長期) | 「1年後には、日中は生活介護に通い、朝の身支度と昼食の準備を職員の声かけ1回で始められるようになる。」 |
「整える」「自立」は評価できません。「週4日以上」「声かけ1回」のように、数・頻度・程度を入れると、モニタリングで達成度を判断でき、次の目標も立てやすくなります。
④ 福祉サービス等(種類・内容・量)
型:サービスの種類・内容・量に加えて、なぜそれが本人に必要かが分かるように書く。支給決定の根拠になる欄なので、「真にこの人に必要」と読み取れることが重要です。
| 例 | |
|---|---|
| ❌ NG | 「居宅介護(家事援助)週3回。」 |
| ✅ OK | 「居宅介護(家事援助)週3回・1回1時間。視覚障害により調理と掃除の一部に見守り・介助が必要なため。本人が手順を覚えている料理は本人が主体的に行い、火の管理と後片付けをヘルパーが担う。」 |
種類と量だけでは、なぜ週3回なのかが説明できません。理由と役割分担まで書くと、支給決定の根拠になり、事業所も動きやすくなります。
文例集:総合的な援助の方針(30例)
障害種別×生活状況で30例を並べます。そのままコピペし、太字部分(本人の言葉・具体的場面・時間軸)を目の前の利用者に置き換えて使ってください。到達時期は一例です。
知的障害(6例)
方針例01|知的・家族同居・就労継続支援B型
「工賃で好きな鉄道グッズを買いたい」という本人の楽しみを支えとして、まずは平日の通所を習慣化することを重点に置く。B型事業所は本人が集中しやすい軽作業から始めて成功体験を積み、家族は朝の送り出しを担い、相談支援専門員が3か月ごとに通所状況と本人の表情を確認する。1年後には、本人が自分でカレンダーに通所日を書き込み、見通しを持って通えている状態を目指す。
方針例02|知的・家族同居・生活介護+短期入所
高齢の両親が「自分たちに何かあったときが心配」と話す状況を踏まえ、本人が家族以外の人・場所にも安心して過ごせる関係を広げることを当面の方針とする。生活介護で日中活動と入浴支援を確保し、短期入所を月1〜2回計画的に利用して泊まりに慣れていく。相談支援専門員は家族の介護負担と将来の暮らしの場についても継続的に話し合う。
方針例03|知的・独居(一人暮らし移行期)・自立生活援助+居宅介護
グループホームから「自分のペースで一人暮らしをしてみたい」と希望した本人の挑戦を支えるため、当面は失敗を責めずに一緒に見直せる体制を重視する。自立生活援助が定期訪問と随時の相談で生活の困りごとを早めにキャッチし、居宅介護が調理と掃除を一緒に行いながら手順を定着させる。3か月間は毎月モニタリングを行い、困りごとの芽を早期に把握する。
方針例04|知的・グループホーム入居・生活介護
「仲間と一緒に暮らしたい」という本人の希望を尊重しつつ、集団生活の中で自分の役割を持てることを目標とする。グループホームは食事・服薬・金銭の支援を行いながら、洗濯物たたみなど本人ができる家事を役割として任せる。生活介護は日中の活動と体力づくりを担い、相談支援専門員が半年ごとに本人の意向の変化を確認する。
方針例05|知的・グループホーム入居・就労移行支援
「いつか一般企業で働いてみたい」という本人の思いを長期の目標として大切にしつつ、まずは働く生活リズムと対人マナーを身につけることを当面の重点とする。就労移行支援が職業訓練と実習を、グループホームが規則正しい生活リズムを支え、相談支援専門員が本人・事業所・(将来的に)企業の間の橋渡しを担う。
方針例06|知的・家族同居・行動援護+日中一時
強いこだわりや見通しの立たない場面で不安が高まりやすい本人が、安心して外出や余暇を楽しめることを方針とする。行動援護でなじみの支援者と外出の経験を重ね、日中一時支援で家族のレスパイトも確保する。支援者間で「本人が落ち着ける関わり方」を共有し、相談支援専門員がその情報を計画に反映して更新する。
精神障害(6例)
方針例07|精神・独居・就労継続支援B型+訪問看護
「働き続けたい。でも調子の波が怖い」と語る本人が、体調の波とつきあいながら通所を続けられることを重点とする。B型事業所は作業量を体調に合わせて調整し、訪問看護が服薬と生活リズムを支え、相談支援専門員が1か月ごとに通所状況と睡眠・服薬の状態を確認する。半年後には、本人が「今日は休む」と自分で判断し、休んでも自分を責めずに翌週また通える状態を目指す。
方針例08|精神・独居・自立訓練(生活訓練)
長期入院を経て地域生活を始めた本人が、「もう一度自分の暮らしを取り戻したい」という気持ちで一歩を踏み出せるよう支える。自立訓練で金銭管理・調理・服薬などの生活スキルを本人のペースで再獲得し、相談支援専門員は焦りや不安が強まる時期を見立てて関わりを厚くする。まずは3か月、決まった曜日に通える生活の枠をつくることを目指す。
方針例09|精神・家族同居・就労移行支援
「そろそろ働きたいが、また体調を崩さないか不安」という本人の気持ちに寄り添い、無理のないステップで就労を目指す。就労移行支援が本人の障害特性に合った働き方を一緒に探し、家族には過度な励ましより見守りをお願いする。相談支援専門員が本人・家族・事業所の期待値のずれを調整し、再発のサインを早めに共有する仕組みをつくる。
方針例10|精神・家族同居・地域移行支援からの定着
精神科病院から退院し家族のもとで暮らし始めた本人が、地域での生活に慣れ、日中の居場所を持てることを当面の方針とする。まずは訪問と通院同行で生活の土台を整え、本人が関心を示した地域活動支援センターの利用につなげる。家族の不安も大きいため、相談支援専門員が家族の相談窓口も兼ねながら、半年かけて生活の安定を確認する。
方針例11|精神・グループホーム入居・就労継続支援A型
「決まった時間に働く生活を続けたい」という本人の希望を軸に、住まいと就労の両面から生活リズムを支える。グループホームが服薬管理と朝の起床支援を、A型事業所が本人の得意なPC作業を活かせる役割を提供し、相談支援専門員がストレスのたまり具合を定期的に確認して早めに関わる。
方針例12|精神・独居・訪問看護+家事援助(居宅介護)
意欲の低下があるときに家事や食事が滞りやすい本人が、最低限の生活の土台を保ちながら回復のペースをつくれるよう支える。居宅介護(家事援助)が調理・掃除を一緒に行い、訪問看護が服薬と体調を支える。相談支援専門員は本人の調子に応じてサービスの量を柔軟に見直し、「できることが増えたら少しずつ減らす」方向で計画を更新する。
身体障害(6例)
方針例13|身体(頸髄損傷)・独居・重度訪問介護
「介助を受けながらでも、自分の暮らし方は自分で決めたい」という本人の意思を最大限尊重することを支援の柱とする。重度訪問介護が食事・排泄・入浴・移動を支えつつ、日々の過ごし方や外出先は本人が決められるようにする。相談支援専門員は本人の意思決定を支える立場を保ち、支援者の関わり方が管理的にならないよう会議で確認する。
方針例14|身体(脳性まひ)・家族同居・生活介護+居宅介護
「日中は仲間と一緒に活動したい。家では自分でできることは自分でやりたい」という本人の希望を踏まえ、活動の場と在宅の支援を組み合わせる。生活介護で創作活動と機能訓練を、居宅介護で入浴と外出時の介助を担う。家族の介護負担も考慮し、相談支援専門員が半年ごとにサービス量の過不足を確認する。
方針例15|身体(中途障害・脳血管疾患後)・家族同居・自立訓練(機能訓練)
「もう一度、自分で歩いてトイレに行けるようになりたい」という本人の目標に向けて、リハビリと在宅生活の橋渡しを重視する。自立訓練(機能訓練)で歩行と動作の改善を図り、家庭では手すりの設置など環境も整える。相談支援専門員は本人の意欲の変化と家族の受け止めを確認しながら、生活の中で訓練成果を活かせる場面を一緒に増やしていく。
方針例16|身体(視覚障害)・独居・同行援護+居宅介護
「一人暮らしを続けながら、行きたい場所に自分で出かけたい」という本人の希望を支えるため、外出と在宅の両面を整える。同行援護で通院・買い物・余暇の外出を支え、居宅介護で調理・掃除の一部を担う。本人が手順を覚えている家事は本人が主体的に行い、相談支援専門員が「本人ができること」を尊重した支援配分を保つ。
方針例17|身体(聴覚障害)・家族同居・就労移行支援
「自分に合った職場で長く働きたい」という本人の希望を軸に、コミュニケーション手段を整えながら就労を目指す。就労移行支援が本人の得意分野を活かせる職種を一緒に探し、職場との筆談・手話・文字支援などの配慮を調整する。相談支援専門員が本人と企業の間の情報伝達を支え、就労後の定着まで見通した計画とする。
方針例18|身体(重度・医療的ケアあり)・グループホーム(日中サービス支援型)
家族から離れて暮らし始めた本人が、医療的なケアを安全に受けながら、日中も自分の好きな活動で過ごせることを方針とする。日中サービス支援型グループホームが医療的ケアと生活支援を、看護・医療が健康管理を担う。相談支援専門員は本人の体調と本人らしい過ごし方の両立を、家族とも共有しながら見守る。
難病(6例)
方針例19|難病(進行性・パーキンソン病)・家族同居・居宅介護+通所
症状に日内変動があり体調の見通しが立ちにくい本人が、「できるうちは自分でやりたい」という思いを大切にしながら暮らせるよう支える。居宅介護は調子の良い時間帯に本人ができる家事を尊重し、動きにくい時間帯の介助を厚くする。相談支援専門員は症状の進行を見立てながら、サービス量を先回りして見直す。
方針例20|難病(進行性・ALS)・独居・重度訪問介護+訪問看護
進行に伴い変化する本人の意思を、そのつど確認しながら支援に反映することを最重要とする。重度訪問介護と訪問看護が24時間の生活と医療的ケアを支え、コミュニケーション手段(文字盤・視線入力等)も本人の状態に合わせて整える。相談支援専門員は本人の意思決定支援を軸に、支援者間で「本人の意思の確認方法」を共有し続ける。
方針例21|難病(潰瘍性大腸炎等・症状の波あり)・独居・就労継続支援B型
「体調に波はあるけれど、働くことは続けたい」という本人の思いを支えとして、無理なく通える働き方をつくる。B型事業所は在宅ワークや短時間から選べる作業を用意し、体調不良時に休みやすい雰囲気を大切にする。相談支援専門員が通院と就労の両立状況を確認し、必要に応じて働き方を柔軟に見直す。
方針例22|難病(筋ジストロフィー)・家族同居・生活介護+短期入所
「日中は同世代の仲間と過ごしたい」という本人の希望と、介護を担う家族の負担軽減を両立させることを方針とする。生活介護で活動と健康管理を、短期入所で計画的なレスパイトを確保する。相談支援専門員は進行に伴う介助量の変化を家族と共有し、将来の暮らしの場についても早めに話し合いを始める。
方針例23|難病・独居・自立生活援助+居宅介護
一人暮らしを続けたい本人が、体調の変化に応じて助けを求められる関係を持てることを重視する。自立生活援助が定期訪問と緊急時の相談を担い、居宅介護が家事と体調不良時の生活を支える。相談支援専門員は「困ったときにすぐ連絡できる」安心感を土台に、本人の一人暮らしの継続を支える。
方針例24|難病・家族同居・訪問看護+日中一時
医療的な管理が欠かせない本人が、家族と暮らしながら日中の活動の場も持てることを方針とする。訪問看護が健康管理を、日中一時支援が活動と家族のレスパイトを担う。相談支援専門員は主治医・訪問看護と連携し、体調の変化を計画にこまめに反映する。
障害児(6例)
方針例25|児童(発達障害)・家族同居・放課後等デイサービス
「学校の後も安心して過ごせる場所がほしい」という本人と、「集団の中での困りごとを減らしたい」という保護者の願いを踏まえ、放課後の居場所と成長の場を確保する。放課後等デイサービスが本人の興味に沿った活動と、順番を待つ・気持ちを言葉にするなどの練習を提供する。相談支援専門員は学校とも情報を共有し、家庭・学校・事業所で関わり方をそろえる。
方針例26|児童(知的・自閉スペクトラム)・家族同居・児童発達支援
「同じ年頃の子と過ごす経験を積ませたい」という保護者の希望を踏まえ、就学に向けて生活と対人の土台をつくることを方針とする。児童発達支援が本人のペースを尊重しながら着替え・排泄・遊びを通じた発達支援を行う。相談支援専門員は就学先とも早めに連携し、本人が安心して就学を迎えられるよう橋渡しする。
方針例27|児童(身体・医療的ケア児)・家族同居・児童発達支援+居宅介護
医療的ケアが必要な本人が、安全に配慮されながらも子どもらしい経験を積めることを大切にする。児童発達支援が発達支援と医療的ケアを、居宅介護が入浴等の在宅支援を担う。相談支援専門員は主治医・訪問看護・事業所の連携を整え、きょうだいを含めた家族全体の負担にも目を配る。
方針例28|児童(発達障害)・家族同居・保育所等訪問支援+放課後等デイ
「保育園でも家でも、同じ関わり方で見守ってあげたい」という保護者の願いを踏まえ、集団生活と療育の一貫性を重視する。保育所等訪問支援が園での過ごし方を支援者と共有し、放課後等デイが個別の課題に取り組む。相談支援専門員が園・事業所・家庭の関わり方をそろえ、本人が混乱しないよう調整する。
方針例29|児童(重症心身障害)・家族同居・生活介護(18歳以降を見据え)+短期入所
卒業後の暮らしを見据えて、本人が安心して過ごせる日中の場と、家族のレスパイトを整えることを方針とする。児童期は児童発達支援・放課後等デイで発達と健康を支え、短期入所で泊まりに慣れていく。相談支援専門員は成人期のサービスへの移行を長期の見通しとして家族と共有する。
方針例30|児童(発達障害・不登校傾向)・家族同居・放課後等デイ+相談
学校に行きづらくなっている本人が、「安心して過ごせる場所と、自分のペースで人と関われる経験」を持てることを重視する。放課後等デイが本人の好きな活動を入り口に居場所と対人経験を提供し、相談支援専門員が学校・家庭・事業所の間で本人の状態を丁寧に共有する。無理に登校を促すのではなく、本人の回復のペースを尊重する。
文例集:意向・ニーズの書き方(20例)
意向欄でつまずく最大の理由は、「本人の言葉」から「計画への記載」への翻訳の型が身についていないことです。ここでは、アセスメントで聞き取った本人の言葉(生の声)を、①意向欄への記載、②解決すべき課題(ニーズ)にどう変換するかを20例で示します。
ニーズとは「本人の希望する状態」と「現状」のギャップのこと。本人の困りごとや願いを、支援で埋められる課題の形に言い換えるのがコツです。「〜がない/できない」だけで終わらせず、「〜できるようになりたい(そのために〜が必要)」という前向きな形にします。
| # | 本人の言葉(聞き取り) | 意向欄への記載(希望する生活) | 解決すべき課題(ニーズ) |
|---|---|---|---|
| 01 | 「ずっと家にいると気がめいる。どこか行くとこがほしい」 | 平日の日中に通える居場所を持ち、人と関わる時間をつくりたい | 日中活動の場が確保され、生活にリズムと役割ができること |
| 02 | 「お金の計算が苦手で、給料日前にいつも足りなくなる」 | 自分のお金で1か月やりくりできるようになりたい | 収支の見通しを立て、計画的に金銭を使う方法を身につけること |
| 03 | 「薬を飲み忘れて、調子を崩すことがある」 | 体調を崩さずに毎日を過ごしたい | 服薬を継続でき、体調の変化に早めに気づける支援があること |
| 04 | 「一人で電車に乗るのが不安。でも自分で通いたい」 | 支援を受けながら、いずれは一人で通所できるようになりたい | 公共交通機関の利用に慣れ、一人で移動できる範囲を広げること |
| 05 | 「料理はしたいけど、火を使うのが怖い」 | 自分で食事を用意できるようになりたい | 安全に配慮しながら、できる調理の幅を広げること |
| 06 | 「働きたいけど、また体を壊すのが怖い」 | 体調と折り合いをつけながら、無理なく働き続けたい | 障害特性に合った働き方を見つけ、再発を防ぐ体制を整えること |
| 07 | 「人と話すのが苦手で、職場で孤立してしまう」 | 職場で困ったことを相談できる関係をつくりたい | 相談できる相手や場面を持ち、対人ストレスを軽減すること |
| 08 | (知的障害・本人)「パンをつくる仕事が好き。ずっとやりたい」 | 好きなパンづくりの作業を続けたい | 得意・好きを活かせる作業を継続でき、意欲を保てること |
| 09 | 「朝、自分で起きられなくて遅刻してしまう」 | 決まった時間に起きて、遅刻せずに通いたい | 起床・生活リズムを整え、時間を守って行動できること |
| 10 | 「掃除や洗濯まで手が回らない。部屋が片づかない」 | 清潔な部屋で気持ちよく暮らしたい | 家事を継続できる方法・支援を確保すること |
| 11 | 「グループホームを出て、いつか一人で暮らしたい」 | 自分のペースで一人暮らしをしてみたい | 一人暮らしに必要な生活スキルを身につけ、支援体制を整えること |
| 12 | (身体障害・本人)「介助は受けるけど、過ごし方は自分で決めたい」 | 必要な介助を受けつつ、自分の生活は自分で決めたい | 本人の意思決定を尊重した介助が受けられること |
| 13 | 「買い物に行きたいけど、目が見えにくくて一人では不安」 | 行きたい店へ自分の意思で買い物に行きたい | 外出時の支援を得て、本人が選んで買い物できること |
| 14 | 「病気が進んでいくのが不安。今できることは自分でやりたい」 | できることは自分で続けながら、安心して暮らしたい | 進行に応じて支援を調整し、本人の「できる」を尊重すること |
| 15 | (難病・本人)「困ったときにすぐ連絡できる人がいると安心」 | 一人暮らしを続けながら、困ったときに頼れる関係がほしい | 緊急時・困りごとに随時相談できる支援があること |
| 16 | (母)「私に何かあったとき、この子がどうなるか心配」 | 家族以外の人・場所にも慣れて、安心して過ごせるようになりたい(本人)/将来も安心できる暮らしの場を考えたい(家族) | 家族以外の支援関係を広げ、将来の生活の場を検討すること |
| 17 | (保護者)「学校の後、安全に過ごせる場所がほしい」 | 放課後を安心して過ごし、いろいろな経験をしたい(本人) | 放課後の居場所を確保し、発達・対人の経験を積むこと |
| 18 | (保護者)「集団に入ると、かんしゃくを起こしてしまう」 | 友だちと一緒に、落ち着いて過ごせるようになりたい(本人) | 集団場面での過ごし方を学び、気持ちの調整を支援すること |
| 19 | 「学校に行こうとするとお腹が痛くなる」 | 自分のペースで、安心できる場所から人と関わりたい | 本人が安心できる居場所を確保し、回復のペースを尊重すること |
| 20 | 「就職が決まったけど、続けられるか不安」 | せっかく決まった仕事を、長く続けたい | 就労後の定着支援を受け、職場の困りごとを早めに解消すること |
補足:家族の意向は「区別して」書く
意向欄では、本人の意向と家族の意向を分けて記載します。両者が一致しないことも珍しくありません(例16のように、本人は「一人で暮らしたい」、家族は「まだ心配」など)。その違いを無理にそろえず、両方を書いたうえで、総合的な援助の方針でどう折り合いをつけるかを示すのが、本人中心の計画です。
文例集:長期目標・短期目標(30例・サービス別)
サービス種別ごとに、長期目標(1年程度)と短期目標(3〜6か月)のセットを30例並べます。期間はあくまで目安で、本人の状態や支給決定期間に合わせて調整してください。どの目標も、モニタリングで「達成できたか」を判断できる言葉にしています。
就労継続支援B型(5例)
目標例01|B型・通所定着
- 長期目標(1年):休みの日も自分で予定を立て、平日は無理なくB型に通う生活を続けている。
- 短期目標(3か月):週4日以上、決めた時間に通所できる状態を続ける。
目標例02|B型・作業スキル
- 長期目標(1年):得意な軽作業で、事業所内の一つの工程を任される。
- 短期目標(6か月):作業手順表を見ながら、一つの作業を最後まで一人で仕上げられる。
目標例03|B型・体調管理(精神障害)
- 長期目標(1年):体調の波を自分で把握し、「今日は休む」と判断しても翌週また通える。
- 短期目標(3か月):毎朝、体調を3段階で職員に伝えられるようになる。
目標例04|B型・対人関係
- 長期目標(1年):作業中に困ったとき、自分から職員に声をかけて相談できる。
- 短期目標(6か月):決まった職員に、1日1回は自分から話しかけられる。
目標例05|B型・工賃と意欲
- 長期目標(1年):工賃で好きなものを計画的に買う楽しみを持ち、通所の意欲を保っている。
- 短期目標(3か月):工賃の使い道を自分で1つ決め、それを目標に通所する。
就労移行支援(5例)
目標例06|就労移行・自己理解
- 長期目標(1年):自分に合った働き方・配慮を説明できるようになり、就職活動を進めている。
- 短期目標(6か月):自分の得意・苦手と、必要な配慮を3つずつ言葉にできる。
目標例07|就労移行・生活リズム
- 長期目標(1年):フルタイム勤務に耐えられる生活リズムが安定している。
- 短期目標(3か月):週5日、遅刻・欠席なく通所できる状態を1か月続ける。
目標例08|就労移行・実習
- 長期目標(1年):企業実習を経て、自分に合う職場のイメージを持てている。
- 短期目標(6か月):2週間の企業実習に参加し、振り返りを言葉にできる。
目標例09|就労移行・ビジネスマナー
- 長期目標(1年):職場で必要な報告・連絡・相談を自分から行える。
- 短期目標(3か月):作業の開始・終了・困りごとを、その都度支援者に報告できる。
目標例10|就労移行・就職と定着準備
- 長期目標(1年):自分に合った職場に就職し、就労定着支援につながっている。
- 短期目標(6か月):応募書類を作成し、面接練習を3回以上経験する。
生活介護(5例)
目標例11|生活介護・日中活動
- 長期目標(1年):週4日以上、生活介護で好きな創作活動に落ち着いて取り組んでいる。
- 短期目標(6か月):午前の活動に、声かけ1回で参加を始められる。
目標例12|生活介護・身辺自立
- 長期目標(1年):昼食の準備(配膳・片づけ)を職員の見守りで行える。
- 短期目標(3か月):食後の食器を自分で下げる習慣が定着する。
目標例13|生活介護・健康と体力
- 長期目標(1年):機能訓練を継続し、日常の移動で疲れにくくなる。
- 短期目標(6か月):週2回の機能訓練に、痛みを伝えながら参加できる。
目標例14|生活介護・コミュニケーション(重度)
- 長期目標(1年):好きな活動・嫌なことを、表情や身振りで支援者に伝えられる。
- 短期目標(6か月):2つの選択肢から、好きな方を指さし等で選べる場面が増える。
目標例15|生活介護・余暇と社会参加
- 長期目標(1年):事業所の外出活動に参加し、地域の中で過ごす経験を楽しんでいる。
- 短期目標(3か月):月1回の外出活動に、不安なく参加できる。
共同生活援助(グループホーム/5例)
目標例16|GH・生活リズム
- 長期目標(1年):規則正しい生活リズムのなかで、仲間と落ち着いて暮らしている。
- 短期目標(3か月):起床・食事・就寝の時間を、声かけ1回で守れる。
目標例17|GH・服薬管理
- 長期目標(1年):職員の見守りのもと、自分の薬を自分で管理できる。
- 短期目標(6か月):朝の服薬を、職員の声かけで自分で行える。
目標例18|GH・家事の役割
- 長期目標(1年):ホーム内で自分の役割(配膳・洗濯物たたみ等)を継続して担っている。
- 短期目標(3か月):週3回、自分の担当の家事を最後まで行える。
目標例19|GH・金銭管理
- 長期目標(1年):小遣いの範囲で、1週間のやりくりを自分でできる。
- 短期目標(6か月):1日の使える金額を決めて、レシートを職員と一緒に確認できる。
目標例20|GH・一人暮らし移行
- 長期目標(1年):一人暮らしに必要な生活スキルを身につけ、体験利用を始めている。
- 短期目標(6か月):調理・掃除・洗濯を、支援を受けながら一通り経験する。
居宅介護・重度訪問介護(5例)
目標例21|居宅介護(家事援助)・調理
- 長期目標(1年):ヘルパーと一緒に、簡単な食事を自分で用意できる。
- 短期目標(3か月):火を使わない一品(サラダ等)を、手順表を見て作れる。
目標例22|居宅介護(身体介護)・入浴
- 長期目標(1年):安全に入浴を続けながら、できる動作は自分で行っている。
- 短期目標(6か月):洗身の一部を、見守りのもと自分で行える。
目標例23|居宅介護・視覚障害の家事
- 長期目標(1年):住み慣れた自宅で、家事の主体を保ちながら一人暮らしを続けている。
- 短期目標(6か月):ヘルパーと役割を決め、本人ができる家事を毎回自分で行う。
目標例24|重度訪問介護・自己決定
- 長期目標(1年):介助を受けながら、日々の過ごし方や外出先を自分で決めている。
- 短期目標(6か月):週1回、自分で決めた外出(買い物・余暇)を実現する。
目標例25|重度訪問介護・意思伝達(進行性難病)
- 長期目標(1年):状態の変化に合わせた意思伝達手段で、自分の希望を支援者に伝えられる。
- 短期目標(6か月):文字盤・視線入力など、本人に合う伝達手段を1つ確立する。
放課後等デイサービス・児童発達支援(5例)
目標例26|放デイ・気持ちの調整
- 長期目標(1年):気持ちが高ぶったとき、自分で落ち着く方法を使えるようになる。
- 短期目標(6か月):職員の声かけで、決めた「クールダウンの場所」に移動できる。
目標例27|放デイ・対人(順番・ルール)
- 長期目標(1年):集団活動で、順番やルールを守って友だちと遊べる。
- 短期目標(3か月):遊びの順番を、支援者の合図で待てる場面が増える。
目標例28|児発・身辺自立(就学準備)
- 長期目標(1年):着替え・排泄・手洗いを、声かけで自分から行える。
- 短期目標(6か月):ボタンかけを、見守りのもと自分でできる。
目標例29|放デイ・コミュニケーション
- 長期目標(1年):困ったときに「手伝って」と言葉やカードで伝えられる。
- 短期目標(3か月):援助を求めるカードを使って、支援者に助けを求められる。
目標例30|放デイ・不登校傾向の居場所
- 長期目標(1年):安心できる居場所で、自分のペースで人と関わる経験を重ねている。
- 短期目標(6か月):週2回、放課後等デイに安心して通える。
全体記入例(3ケース)
ここまでの欄をつなげると、1枚のサービス等利用計画(1表)がどう仕上がるかを、3ケースで示します。利用者名は仮名です。様式は自治体により異なりますが、記載する要素(意向・方針・目標・課題・サービス・役割・達成時期)は共通です。
ケース1|就労継続支援B型を利用する精神障害の方(独居)
- 利用者:Aさん(30代・独居)
- 障害:統合失調症。体調の波があり、疲れやすい。服薬を継続中。
- 利用サービス:就労継続支援B型/訪問看護(医療)
利用者及び家族の生活に対する意向(希望する生活)
(本人)「働き続けたい。ただ、調子の波があって、無理をすると寝込んでしまうのが不安。自分のペースで通える範囲で働きたい」。一人暮らしは続けたいが、掃除や食事がおろそかになりがちなのは自分でも気になっている。
総合的な援助の方針
「働き続けたい」という本人の思いを軸に、体調の波と折り合いをつけながら通所リズムを整えることを当面の重点とする。B型事業所は作業量を体調に合わせて調整し、訪問看護が服薬と生活リズムを支え、相談支援専門員が1か月ごとに通所・睡眠・服薬の状態を確認する。半年後をめどに、本人が「今日は休む」と自分で判断し、休んでも自分を責めずに翌週また通える状態を目指す。
長期目標(1年):体調の波を自分で把握し、無理のない範囲でB型への通所を続けている。
短期目標(6か月):週4日以上、決めた時間に通所できる状態を続け、毎朝の体調を3段階で職員に伝えられる。
| 解決すべき課題(本人のニーズ) | 支援目標 | 福祉サービス等(種類・内容・量) | 本人の役割 | 達成時期 |
|---|---|---|---|---|
| 体調の波とつきあいながら働き続けたい | 体調に合わせて通所を継続できる | 就労継続支援B型(週4〜5日・作業量調整可) | 朝、体調を職員に伝える | 6か月 |
| 服薬を続け、体調を崩さないようにしたい | 服薬と生活リズムを保てる | 訪問看護(週1回・服薬確認と体調確認) | 服薬カレンダーに記録する | 6か月 |
| 家事が滞りがちなのを何とかしたい | 最低限の家事を続けられる | (当面はB型・訪問看護で見守り、必要時に居宅介護を検討) | できる範囲で掃除・食事を続ける | 随時見直し |
ケース2|グループホームに入居する知的障害の方
- 利用者:Bさん(20代・グループホーム入居)
- 障害:知的障害(中度)。日課の見通しが立つと落ち着いて過ごせる。金銭管理は練習中。
- 利用サービス:共同生活援助(グループホーム)/生活介護
利用者及び家族の生活に対する意向(希望する生活)
(本人)「仲間と一緒に暮らしたい。工賃で好きな電車のグッズを買いたい」。(家族)「本人のやりたい気持ちを大事にしてほしい。金銭管理だけは急に一人では不安なので、少しずつ練習させてほしい」。
総合的な援助の方針
「仲間と一緒に暮らしたい」という本人の希望を尊重しつつ、集団生活の中で自分の役割を持ち、金銭管理を段階的に身につけることを方針とする。グループホームは食事・服薬・金銭の支援を行いながら、洗濯物たたみなど本人ができる家事を役割として任せる。生活介護は日中の活動と体力づくりを担い、相談支援専門員が半年ごとに本人の意向の変化と金銭管理の習熟度を確認する。
長期目標(1年):ホーム内で自分の役割を継続して担い、小遣いの範囲でやりくりできるようになっている。
短期目標(6か月):週3回、担当の家事(洗濯物たたみ)を最後まで行い、1日に使える金額を決めてレシートを職員と確認できる。
| 解決すべき課題(本人のニーズ) | 支援目標 | 福祉サービス等(種類・内容・量) | 本人の役割 | 達成時期 |
|---|---|---|---|---|
| 仲間と暮らしながら役割を持ちたい | ホーム内の家事を担える | 共同生活援助(毎日・生活支援) | 担当の家事を行う | 6か月 |
| 好きなものを自分のお金で買いたい | 金銭を計画的に使える | 共同生活援助(金銭管理の支援) | 使った金額を職員と確認する | 6か月 |
| 日中を仲間と活動して過ごしたい | 日中活動に落ち着いて参加する | 生活介護(週5日・活動と体力づくり) | 午前の活動に参加する | 6か月 |
ケース3|放課後等デイサービスを利用する障害児
- 利用者:Cさん(小学3年生・家族同居)
- 障害:自閉スペクトラム症。集団場面で気持ちの高ぶりが出やすい。好きな活動には集中できる。
- 利用サービス:放課後等デイサービス/保育所等訪問支援(※障害児支援利用計画として作成)
利用者及び家族の生活に対する意向(希望する生活)
(本人)「学校の後、好きな工作をして過ごしたい」。(保護者)「集団に入るとかんしゃくを起こしてしまうのが心配。学校でも家でも同じ関わり方で見守ってあげたい。放課後を安全に過ごせる場所がほしい」。
総合的な援助の方針
「好きな活動を入り口に、安心して人と関わる経験を積みたい」という本人の姿と、「集団での困りごとを減らしたい」という保護者の願いを踏まえ、放課後の居場所づくりと気持ちの調整の支援を重点とする。放課後等デイは本人の興味に沿った活動と、気持ちが高ぶったときのクールダウンの練習を提供する。保育所等訪問支援が学校での過ごし方を支援者と共有し、家庭・学校・事業所で関わり方をそろえる。相談支援専門員が三者の情報共有を橋渡しする。
長期目標(1年):気持ちが高ぶったとき、自分で落ち着く方法を使えるようになり、集団活動にも参加できている。
短期目標(6か月):職員の声かけで、決めた「クールダウンの場所」に移動でき、週4日、放課後等デイに落ち着いて通える。
| 解決すべき課題(本人のニーズ) | 支援目標 | 福祉サービス等(種類・内容・量) | 本人の役割 | 達成時期 |
|---|---|---|---|---|
| 放課後を安心して過ごしたい | 落ち着いて通える居場所を持つ | 放課後等デイサービス(週4日) | 好きな活動に取り組む | 6か月 |
| 気持ちの高ぶりとつきあいたい | 自分で落ち着く方法を使える | 放課後等デイ(クールダウンの練習) | クールダウンの場所に移動する | 6か月 |
| 学校でも同じ関わりで見守ってほしい | 家庭・学校・事業所で関わりをそろえる | 保育所等訪問支援(月2回) | ——(保護者・学校・事業所の連携) | 6か月 |
運営指導でチェックされるポイント
文例で内容を整えても、手続きと記録の不備で運営指導の指摘を受けてしまっては元も子もありません。ここでは、自治体の運営指導(旧・実地指導)で実際に挙げられている指摘事例をもとに、「通る計画」の条件を整理します。以下は前橋市が集団指導資料で示した主な指摘事例などを参考にしていますが、指摘の傾向や重点は自治体により異なります。
手続き・日付まわり(頻出)
- 同意・署名の漏れ:サービス等利用計画案・本案について、本人(または家族)への説明と同意(署名・記名押印)が必要です。同意の記録がないと指摘対象になります。
- 交付の漏れ:完成した計画は本人に交付します。交付日の記載漏れに注意します。
- 日付の前後関係:サービス等利用計画の作成年月日が、サービス担当者会議の開催日より前になっている、というのはよくある指摘です。「アセスメント→担当者会議→計画作成→同意→交付」の順に日付が並んでいるか確認します(根拠:指定計画相談支援の具体的取扱方針)。
モニタリング
- モニタリングが実施されていない/記録がない:定期的なモニタリングの実施と結果の記録は必須です。
- 居宅等を訪問していない:アセスメントとモニタリングは、居宅等を訪問して面接することが求められます(訪問せず電話等だけで済ませていると指摘対象)。
- モニタリング期間の設定:サービスの種類等に応じた標準期間を踏まえつつ、本人の状態に応じて設定します。新規支給決定や、支給決定の変更でサービスの種類・内容・量に著しい変動があった場合は、原則として最初の3か月は毎月モニタリングを行うのが一般的です。標準期間や運用は自治体により異なるため、受給者証や自治体の案内で確認してください。
記録の整備(5年間保存)
相談支援台帳として、利用者ごとに次の記録を整備・保存する必要があります(保存期間は基準省令で5年間とされています。起算日など細部の取り扱いは自治体で確認してください【要確認:5年の起算日は「サービス提供の完結の日」等、自治体・条例で扱いが分かれる】)。
- サービス等利用計画案・サービス等利用計画
- アセスメントの記録
- サービス担当者会議等の記録(会議録)
- モニタリングの結果の記録
- 市町村への通知に係る記録/苦情・事故の記録 など
サービス担当者会議の会議録が整備・保管されていない、という指摘も定番です。会議の出席者・日時・内容の要旨・対応方針を記録に残します。
計画書の「中身」も見られている
手続きだけでなく、記載内容そのものも指摘されます。運営指導資料では、たとえば次のような視点が示されています。
- 初めて計画書を見た関係者が、本人の実際の生活をイメージできる表現になっているか。
- 本人の意向が「安定した生活をしたい」のような抽象的表現だけになっていないか(本人の意向を汲み取った表現か)。
- 本人の強みを把握し、それを活かす視点があるか。
- 支給決定の根拠として、支援が必要な理由・状況が明確で、サービスの種類・内容・量が真に本人に必要だと分かるか。
——つまり、前半の「各欄の書き方の型」で示した型を守ることは、そのまま運営指導対策になります。
より詳しいチェック項目・頻出指摘事項は、以下の関連記事にまとめる予定です。
- 相談支援事業所の運営指導チェックリスト(必要書類・当日の流れ)※準備中
- 運営指導の頻出指摘事項20選【計画相談支援】※準備中
文例を使うときの注意点
最後に、文例との付き合い方です。ここを外すと、せっかくの文例が逆効果になります。
丸写しは「個別性の欠如」として指摘されうる
サービス等利用計画は、一人ひとり違う暮らし・希望・課題に基づいて作るものです。文例をそのまま貼り付けただけの計画は、本人の生活が見えず、「初めて見た人が本人の生活をイメージできない」「本人の意向が抽象的」といった、運営指導で指摘されやすい状態になりがちです。文例はあくまで「型」と「言い回しの引き出し」として使ってください。
文例を土台に個別化する手順
- 本人の言葉に置き換える:文例の「好きなパンづくり」を、実際にアセスメントで聞いた本人の言葉(「私は◯◯が好きで…」)に差し替える。
- 具体的な生活場面を入れる:「近所のスーパー」「朝の身支度」など、その人の生活に実在する場面に直す。
- 数・頻度・程度を本人に合わせる:「週4日」「声かけ1回」を、本人の現状から見て現実的な数字にする。
- 強みを一つ入れる:本人ができること・得意なことを必ず盛り込む(運営指導でも見られる視点)。
- 担当者会議で共有し、各事業所の個別支援計画と方向がそろっているか確認する。
医療・診断的な断定はしない
計画に障害特性を書くときは、「〜という診断だから〜できない」といった断定ではなく、支援の文脈(どんな場面で、どんな配慮があれば、本人が何をしやすくなるか)で記述します。診断名は事実として必要な範囲で触れ、支援の焦点は「できること・したいこと」に置きます。
本記事の制度に関する記述は2026年7月時点の情報を基にしています。モニタリング標準期間・様式・記録の保存期間・運営指導の重点は自治体により異なる場合があります。最新の取り扱いは、各市町村・都道府県の公式情報をご確認ください。
よくある質問
サービス等利用計画と個別支援計画の違いは?
サービス等利用計画は相談支援専門員が作る生活全体の計画(上位計画)、個別支援計画は各サービス事業所のサービス管理責任者(児童は児童発達支援管理責任者)が作るその事業所のサービスの計画(下位計画)です。個別支援計画は、サービス等利用計画の「総合的な援助の方針」を踏まえて作られます。家全体の設計図と各部屋の施工図の関係だと考えると分かりやすいです。
総合的な援助の方針には何を書けばいい?
本人が望む生活を実現するために、チーム全体がどの方向を向いて支援するかを書きます。「本人が〜できるよう、〜という視点で、各機関が〜の役割を担いながら支援する」という骨格に、当面の重点・役割分担・時間軸・到達したい状態を盛り込むと、各事業所と共有できる方針になります。「連携して安定した生活を支援する」だけでは、誰が何をするか分からず不十分です。
文例をそのまま使うと運営指導で指摘される?
文例を「型」として使うのは問題ありませんが、丸写しで個別性が欠けていると指摘対象になりえます。運営指導では、初めて計画書を見た人が本人の生活をイメージできるか、本人の意向が抽象的でないか、本人の強みを活かす視点があるかが見られます。文例は本人の言葉・具体的な生活場面・現実的な数字に置き換えて使ってください。
様式は自治体ごとに違う?標準様式はどこで入手できる?
はい、様式は自治体(都道府県・市町村)により異なります。厚生労働省が示す標準的な様式を基に各自治体が独自の様式を定めているのが実情です。実際に使う様式は、事業所所在地の市町村の障害福祉担当窓口やホームページで確認してください。記載する要素(意向・方針・目標・課題・サービス・役割・達成時期)はどの様式でも共通です。
セルフプランとの違いと、相談支援専門員が作るメリットは?
セルフプランは、本人や家族が自分で作るサービス等利用計画に代わるものです。相談支援がすぐに入れない場合などに、早くサービスを使い始める手段として認められています。相談支援専門員が作るメリットは、第三者的な視点で最適なサービスの組み合わせを提案してもらえること、複数の事業所間の調整を任せられること、定期的なモニタリングで生活の変化に合わせて計画を見直してもらえることの3点です。