計画相談のアセスメントシートの書き方|項目別の記入例とフェイスシートとの違い
計画相談支援のアセスメントシートの書き方を、生活歴・健康・日常生活・意向・強みなど項目別に記入例つきで解説。フェイスシートとの違い、聞き取りのコツ、運営指導で見られるポイントまで、新任の相談支援専門員向けにまとめました。
「アセスメントシート、どの項目に何を書けばいいのか毎回迷う」「聞き取りはできても、それを文章にする段になると手が止まる」——新任の相談支援専門員がまずつまずくのが、アセスメントの記入です。
アセスメントは、サービス等利用計画の土台です。ここで本人の生活と「解決すべき課題」を正しくつかめていないと、その後の計画・目標・サービス選定がすべてぶれていきます。しかもアセスメントは、机の上で書くものではなく、利用者の居宅等を訪問し、本人と家族に面接して行うことが運営基準で求められている、いわば計画づくりの出発点です。
この記事では、アセスメントシートの主な項目を一つずつ取り上げ、「何を聞き、どう書くか」を具体的な記入例つきで解説します。フェイスシートとの違い、本人の言葉の残し方、運営指導で見られるポイントまで、新任の方が最初の1件を書き上げられることを目標にまとめました。
アセスメントで把握した課題を実際の計画の各欄に落とし込む段階は、サービス等利用計画の書き方・文例100事例で文例つきに解説しています。あわせて読むと、アセスメントから計画までの流れがつながります。
アセスメントシートとは(フェイスシートとの違い)
アセスメントとは、本人の心身の状況・置かれている環境・日常生活全般の状況などを評価し、自立した生活を送るうえで「解決すべき課題(ニーズ)」を把握するプロセスです。相談支援専門員は、サービス等利用計画・障害児支援利用計画を作る前に、このアセスメントを行うことが運営基準で定められています。
現場でよく混同されるのが、フェイスシートとアセスメントシートです。どちらも本人の情報を書く用紙ですが、目的が違います。
| フェイスシート | アセスメントシート | |
|---|---|---|
| 目的 | 基本情報の整理・共有、緊急時対応 | 解決すべき課題(ニーズ)の把握・分析 |
| 主な記載内容 | 氏名・生年月日・住所・連絡先・障害/手帳・家族構成・主治医・緊急連絡先 | 生活歴・健康・日常生活の状況・意向・強み・困りごと |
| 情報の性質 | 変更が少ない(引っ越し・連絡先変更などで更新) | 本人の状態変化に応じて更新していく |
| 位置づけ | アセスメントの入り口(前提情報) | 計画作成の直接の根拠 |
ざっくり言えば、フェイスシートは「この人はどういう人か」の名刺・カルテの表紙、アセスメントシートは「この人が望む暮らしのために何が課題か」の分析ノートです。フェイスシートだけ整っていても計画の根拠にはならず、アセスメントがあって初めて「なぜこのサービスが必要か」を説明できます。
なお、アセスメントシートの様式は自治体(都道府県・市町村)によって異なります。厚生労働省が示す標準的な様式をもとに、各自治体が独自の様式を用意しているのが実情です。実際に使う様式は、事業所所在地の市町村の障害福祉担当窓口やホームページで確認してください。項目の考え方はどの様式でも共通なので、以下ではその共通する項目に沿って書き方を見ていきます。
アセスメントシートの主な項目と書き方
ここからが本題です。多くの様式に共通する主な項目を8つ取り上げ、それぞれ「何を聞くか」「どう書くか」と、そのまま参考にできる記入例を示します。記入例は一人の利用者像(統合失調症で就労継続支援B型に通う30代の方・一人暮らし)を通して書いているので、項目のつながりもイメージしやすいはずです。
① 生活歴(生育歴・これまでの経過)
何を聞くか:生まれてから今までの大きな出来事、学歴・職歴、いつ障害が分かったか、これまで利用してきた支援やサービス、生活の転機。
どう書くか:時系列で簡潔に。ただの経歴の羅列にせず、本人が何を大事にしてきたか、どんな場面でつまずいたかが伝わるように書きます。
記入例:〇〇市で生まれ、地元の小・中学校を卒業。中学時代に不登校を経験。通信制高校を卒業後、清掃会社に就職したが、対人関係のストレスから2年で退職。25歳のときに統合失調症の診断を受け、約1年入院。退院後は実家で過ごしていたが、「また働きたい」という気持ちが強くなり、昨年から就労継続支援B型の利用を開始した。
② 健康・医療の状況
何を聞くか:主な疾患・障害、服薬、通院先・主治医、発作やアレルギー、医療的ケアの有無、体調の波、健康面の心配ごと。
どう書くか:診断名は事実として必要な範囲で書きつつ、「どんな場面で・どんな配慮があれば本人が過ごしやすいか」という支援の文脈で記述します。「この診断だから〜できない」といった医療的な断定はしません。
記入例:統合失調症。〇〇クリニックに月2回通院し、抗精神病薬を服用中。服薬を自己中断すると不眠と焦燥感が強まり、体調を崩しやすい。疲れがたまると数日寝込むことがあり、本人も「無理をすると寝込む」と自覚している。服薬管理は概ね自分でできているが、飲み忘れが月に数回ある。
③ 日常生活の状況(食事・金銭管理などの生活行為)
何を聞くか:食事・排泄・入浴・着替え・移動などの身の回りのことと、家事・金銭管理・買い物・服薬管理といった生活行為。できること/支援があればできること/難しいことを分けて確認します。
どう書くか:「できない」で終わらせず、「どこまで自分ででき、どこから支援が要るか」を具体的な行為レベルで書きます。ここが支援量を考える土台になります。
記入例:食事・入浴・着替えは自立。調理はレンジ調理やカット野菜の炒め物など簡単なものはできるが、火を使う料理は不安があり避けている。金銭管理は苦手で、給料日前に生活費が足りなくなることが月に1〜2回ある。買い物は一人で近所のスーパーまで行ける。掃除・洗濯は、気分が落ちているときに滞りがち。
④ 日中活動・就労・社会参加
何を聞くか:日中の過ごし方、通所先・就労先とその内容、対人関係、余暇の過ごし方、地域とのつながり。平日と休日の一日の流れ。
どう書くか:本人の一日が目に浮かぶように書きます。困っていることだけでなく、続けられていること・うまくいっている場面も必ず書きます。
記入例:平日は週4日、就労継続支援B型に通い、軽作業(部品の袋詰め)に取り組んでいる。作業自体は好きで集中できるが、疲れがたまると休みがちになる。休日は自宅で過ごすことが多く、外出は近所への買い物程度。同世代の知人はおらず、「休みの日に話す相手がいない」と話す。鉄道が好きで、動画を見て過ごすのが楽しみ。
⑤ 住環境・経済状況
何を聞くか:住まいの形態(持ち家・賃貸・グループホーム・入所)、間取りやバリアの有無、周辺環境(交通・買い物)、収入(障害年金・工賃・手当など)、経済面の困りごと。
どう書くか:生活のしやすさ・しにくさに直結する点を書きます。経済状況は支援の必要量にも関わるので、困りごとまで踏み込みます。
記入例:賃貸アパート(1K・2階)で一人暮らし。エレベーターはないが移動に支障はない。最寄り駅・スーパーまで徒歩10分で、生活環境は整っている。収入は障害基礎年金2級とB型の工賃(月約1万5千円)。家賃・光熱費を払うと余裕は少なく、「急な出費があると不安」と話す。金銭管理の苦手さもあり、計画的なやりくりが課題。
⑥ 家族・介護者の状況
何を聞くか:家族構成、同居/別居、介護や支援を担っている人、その家族自身の健康・就労・高齢化、家族関係、家族の負担感。
どう書くか:本人と家族の関係、家族が実際に担っていること、家族が抱える不安を書きます。ここは後述の「意向」欄で家族の希望を書くときの土台にもなります。
記入例:両親とは離れて一人暮らし。実家は車で30分の距離で、母が週1回様子を見に来ている。父は健在だが70代で持病がある。母は「本人の一人暮らしを応援したいが、体調を崩したときにすぐ気づけないのが心配」と話す。きょうだいは県外在住で、日常的な支援は難しい。金銭管理や体調悪化時の見守りを家族だけで担うのは、負担が大きい状況。
⑦ 本人・家族の意向(希望する暮らし)
何を聞くか:どんな暮らしを送りたいか、これからやってみたいこと、いま困っていること。本人の意向と家族の意向は分けて確認します。
どう書くか:本人の言葉をできるだけそのまま残します。「安定した生活がしたい」のような抽象的な言葉で終わらせず、具体的な生活場面が浮かぶ形にします。
記入例:(本人)「働き続けたい。でも調子の波があって、無理をすると寝込むのが怖い。自分のペースで通える範囲で働きたい」。一人暮らしは続けたいが、掃除や食事がおろそかになりがちなのは自分でも気にしている。(母)「本人のやりたい気持ちを大事にしたい。ただ、体調を崩したときにすぐ気づける仕組みがあると安心」。
意向欄は、本人の言葉をどう計画に落とすかで最もつまずきやすいところです。聞き取った生の声を意向・ニーズに変換する型は、サービス等利用計画の書き方・文例100事例の意向・ニーズの書き方(20例)で詳しく扱っています。
⑧ 本人の強み(ストレングス)
何を聞くか:できること・得意なこと・好きなこと・大事にしていること、支えになっている人やもの、これまで乗り越えてきた経験。
どう書くか:課題の裏返しではなく、本人が持っている資源として書きます。強みは目標達成の足がかりになりますし、運営指導でも「本人の強みを活かす視点があるか」が見られる項目です。
記入例:一度やると決めたことは真面目に続ける力がある(B型の通所も自分から希望して始めた)。軽作業は正確で、事業所からも信頼されている。鉄道という好きなものがあり、それが外出や会話のきっかけになっている。母との関係は良好で、困ったときに相談できる。過去に入院と退院を経験し、「また働きたい」と自分から一歩を踏み出した回復力がある。
この8項目を、上の記入例のように一人の利用者像として一貫させて書くと、生活歴・健康・日常生活・意向・強みが自然につながり、「この人には何が課題で、なぜこの支援が必要か」が読み手に伝わります。アセスメントがそろえば、次はこれを計画の各欄に落とすだけです。
聞き取り(インテーク)のコツ
同じ項目でも、聞き方と書き方次第で、本人像が生き生きと立ち上がることもあれば、平板な情報の羅列になることもあります。実務で効いてくるコツを4つに絞ります。
本人の言葉を「そのまま」残す
アセスメントの一番の資産は、本人の生の声です。「働き続けたい。でも調子の波が怖い」という言葉を、「就労意欲はあるが体調に不安あり」と要約してしまうと、本人の温度感が消えます。カギカッコで本人の言葉を残すことを基本にし、専門用語への翻訳は最小限にします。その生の声が、後の意向欄・総合的な援助の方針でそのまま生きてきます。
「できないこと」の列挙にしない
困りごとを聞く場面が多いぶん、アセスメントは放っておくと「できないことリスト」になりがちです。それだけでは本人像が歪みます。「できること」「支援があればできること」とセットで書くのが鉄則です。たとえば「金銭管理ができない」ではなく、「買い物は一人でできるが、1か月単位のやりくりは苦手で、一緒に家計を確認する支援があると続けられる」と書けば、支援の方向まで見えてきます。
強み・ストレングスの拾い方
強みは「困りごとは?」と聞いても出てきません。聞き取りの合間に、「好きなこと・得意なこと」「うまくいっている場面」「これまで乗り越えてきた経験」を意識して尋ねます。「B型の通所を自分から希望した」「好きな鉄道の話になると表情が明るくなる」といった何気ない事実が、目標づくりの足がかりになります。日常の場面の観察も立派な情報源です。
一度で聞き切ろうとしない
初対面で全項目を埋めようとすると、本人は尋問されているように感じてしまいます。まずは関係づくりを優先し、複数回の訪問で少しずつ把握していくのが実務では普通です。本人が語りにくいことは、本人の同意を得たうえで家族や関係機関の情報で補い、その出どころを記録に残します。確認できていない項目は、無理に埋めず「未確認」と正直に残すほうが、後のモニタリングで役立ちます。
運営指導との関係
アセスメントは、内容の質だけでなく記録として整っているかも見られます。運営指導(旧・実地指導)で指摘されやすいポイントを押さえておきましょう。なお、指摘の傾向や重点は自治体により異なります。
アセスメント記録の不備は指摘されやすい
アセスメント関連は、運営指導での定番の指摘対象です。よくあるのは次のようなパターンです。
- アセスメントの記録そのものがない/内容が極端に薄い:面接で聞いたはずのことが記録に残っていない。
- 居宅等を訪問していない:アセスメントは居宅等を訪問して本人・家族に面接することが求められています。事業所への来所や電話だけで済ませていると指摘対象になります(この訪問要件は、その後のモニタリングにも共通します)。
- アセスメントと計画がつながっていない:計画の「解決すべき課題」欄に、アセスメントで把握したはずの課題が反映されていない。逆に、アセスメントに書かれていない課題が計画に唐突に出てくる。
アセスメントで見立てた課題が、そのまま計画のニーズ・目標・サービスの根拠になっているか——この一貫性が「通る計画」の条件です。
訪問記録・支援経過との整合
アセスメント(訪問日・面接の事実)と、その後の支援経過記録・モニタリング記録は、日付と内容が矛盾しないようにします。よくあるのは、計画の作成日がサービス担当者会議の開催日より前になっている、訪問した記録がないのに面接済みとして計画が進んでいる、といったずれです。「アセスメント(訪問)→ 計画案作成 → 担当者会議 → 計画作成・同意・交付」の順に、記録の日付が並んでいるかを確認します。
記録は5年間保存
アセスメントの結果は、サービス担当者会議やモニタリングの結果とあわせて、利用者ごとの相談支援台帳として整備し、5年間保存することが基準省令で求められています。台帳に含めるのは、アセスメント記録・サービス等利用計画(案・本案)・担当者会議の記録・モニタリング結果などです。【要確認:5年間の起算日(「サービス提供の完結の日」からか等)は、自治体・条例により扱いが分かれるため、事業所所在地の基準条例で確認】
書くときの注意点
最後に、アセスメントを書くときに外してはいけない点をまとめます。
- 様式は自治体により異なる:アセスメント票の様式は市町村ごとに違います。ダウンロードや入手は、事業所所在地の市町村・都道府県の公式ページや国の資料で確認してください(本記事は様式の配布はしていません)。項目の考え方はどの様式でも共通です。
- 医療・診断的な断定をしない:診断名は事実として必要な範囲で触れ、「この診断だから〜できない」ではなく、「どんな場面で・どんな配慮があれば本人が過ごしやすいか」という支援の文脈で書きます。
- 前回のコピーで済ませない:更新のたびに前回のアセスメントを丸ごとコピーしただけでは、本人の変化が反映されず「個別性の欠如」として指摘されかねません。前回からの変化・新しく分かったことを必ず反映します。
- 機微な情報の取り扱いに配慮する:健康・生活歴・家族関係など、アセスメントには機微な情報が多く含まれます。本人の同意のもとで情報を集め、記録の管理にも配慮します。
アセスメントは、書類仕事ではなく「本人を理解する作業」です。項目を埋めることが目的ではなく、埋めた先で本人の望む暮らしと、その実現を阻んでいる課題が見えてくることが目的です。この記事の記入例を型として使いながら、目の前の一人ひとりの言葉と生活に置き換えていってください。
本記事の制度に関する記述は2026年7月時点の情報を基にしています。アセスメント票の様式・記録の保存期間・運営指導の重点は自治体により異なる場合があります。最新の取り扱いは、各市町村・都道府県の公式情報をご確認ください。
よくある質問
アセスメントは毎回、居宅を訪問しないといけない?
はい。運営基準(基準省令)では、アセスメントにあたって利用者の居宅等を訪問し、本人と家族に面接することが求められています。これは新規のアセスメントだけでなく、その後の定期的なモニタリングにも共通するルールです。電話やメールだけで済ませていると、運営指導で指摘され、報酬返還につながることもあります。なお「居宅等」には自宅のほか、入所施設・病院・日中活動の場なども含まれます。本人が実際に生活している場に足を運ぶ、と考えてください。
フェイスシートだけでは足りない?
足りません。フェイスシートは氏名・住所・連絡先・家族構成・主治医といった基本情報を整理し、職員間で共有したり緊急時に使ったりするためのものです。一方アセスメントシートは、本人の心身の状況や生活の実態を掘り下げ、「支援で解決すべき課題(ニーズ)」を把握・分析するものです。計画の根拠になるのはアセスメントのほうなので、両方をセットで整えます。フェイスシートはアセスメントの入り口の情報、と位置づけると分かりやすいです。
本人がなかなか話したがらないときは?
無理に聞き出そうとせず、まず関係づくりを優先します。困りごとから入るより、好きなこと・得意なこと・日課など話しやすい話題から始めると、本人も口を開きやすくなります。一度の訪問で全項目を埋めようとせず、複数回に分けて少しずつ把握していくのも実務では普通です。本人から聞けない部分は、家族や関係機関の情報で補い、その際は情報の出どころを記録に残します。現時点で確認できていない項目は、無理に埋めず「未確認」と正直に残しておくほうが、後の計画作成やモニタリングで役立ちます。