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文例

精神障害のサービス等利用計画の書き方と文例20選|体調の波に寄り添う記入例

精神障害のサービス等利用計画を、体調の波・リカバリー志向・本人の希望と不安の両方という視点でどう書くか。意向・目標・サービス内容のコピペ可能な文例20例と、退院後の地域定着期のフル記入例を相談支援専門員向けにまとめました。

「精神障害のケースは、計画を立てても体調の波でその通りに進まない」「本人は早く働きたいと焦っているのに、無理をさせると再発が心配」——精神障害のサービス等利用計画には、身体や知的とはまた違った難しさがあります。調子の良し悪しで本人の状態が動き、計画が現実に追いつかない場面が多いからです。

この記事は、精神障害のケースを担当する相談支援専門員に向けて、意向・目標・サービス内容の欄を精神障害特有の視点でどう書くかと、そのまま参考にできる文例20例(意向・ニーズ7例/長期・短期目標7例/サービス内容・留意事項6例)退院後の地域定着期のフル記入例1ケースをまとめました。

各欄の基本の型や、知的・身体・難病・児童を含む文例は、ハブ記事サービス等利用計画の書き方・文例100事例にまとめています。本記事はそこから精神障害に絞り込んだ実践編です。文例はコピペしてから、目の前の利用者の言葉と生活に置き換えて使ってください。

精神障害の計画で押さえる3つの視点

文例に入る前に、精神障害の計画で特に意識したい視点を3つだけ確認します。

① 体調の波を前提に計画を組む

「調子の良いとき」を基準に計画を立てると、良い日にできたことが悪い日にはできず、計画が現実から浮きます。目標や通所の量は波の「底」でも続けられる水準に置き、調子が悪いときにどう乗り切るか(休む・早退する・誰に連絡するか)を計画にあらかじめ書いておきます。「うまくいく前提」ではなく「崩れてもまた戻れる前提」で組むのがコツです。

② リカバリー志向で「本人の希望」を軸に置く

症状や困りごとを並べるだけの計画は、本人にとって「できないことの一覧」になります。本人が「どんな暮らしを取り戻したいか・送りたいか」という希望を軸に置き、そこへ向かう道筋として支援を組み立てます。症状の管理は目的ではなく、本人の望む生活を支える手段だと位置づけると、本人が主役の計画になります。

③ 「希望」と「不安」を両方書く

精神障害のケースでは、本人が「働きたい。でも、また崩れるのが怖い」というように、希望と不安を同時に抱えていることがよくあります。片方だけを書くと計画が実態からずれます。意向欄には希望と不安の両方を書き、その不安に手当てすること自体を支援の焦点にします。不安を書くのは弱さの記録ではなく、「そこを支えます」という約束を計画に残すことです。


各欄の書き方ポイント(精神障害編)

基本の3ステップ(本人の言葉→専門員の捉え直し→到達したい状態)はハブ記事のとおりです。ここでは、精神障害で特に外せない書き方のポイントを欄ごとに補います。

意向欄:希望と不安をセットで、本人の言葉のまま

精神障害の意向欄は、本人の言葉の温度をできるだけ残します。「働きたい」だけでなく「無理をすると寝込むのが怖い」まで書いて初めて、支援の焦点(無理をしない働き方をどう作るか)が見えます。家族の意向も分けて書き、本人と家族で温度差があるとき(本人は就労を急ぎ、家族は療養を望む、など)は無理にそろえず、両方を残します。

目標欄:就労と療養のバランスを、達成可能な水準で

精神障害の目標で最も起きやすいのが、本人の焦りに引きずられて高すぎる目標を立ててしまうことです。長期目標に就労を置くのは構いませんが、短期目標は「調子が悪い週でも達成を続けられる」水準にします。「週5日フルで通う」ではなく「疲れがたまったサインに気づいたら休憩をとれる」のように、体調管理そのものを目標として言葉にすると、就労と療養の両立が図れます。

サービス内容・留意事項欄:調子が悪いときの手立てと再発サインを書き込む

サービスの種類・内容・量に加えて、精神障害では次の2点を留意事項として計画に組み込みます。

  • 調子が悪いときの手立て:不調時は休みやすい・早退しやすい扱いにし、休んだ翌週の再開を責めずに支える、という「崩れたときの受け止め方」を事業所と共有しておく。
  • 再発サインの共有:「どうなったら(睡眠が乱れる、来所が減る、連絡が途絶える等)、誰が誰に連絡するか」を本人・家族・事業所・医療で決めておく。悪化の初期に動けるかは、この共有の有無で大きく変わります。

総合的な援助の方針欄:チームの向きを示す(文例は姉妹記事へ)

方針欄は、体調の波を前提にチーム全体がどこを向くかを示します。一例だけ挙げます。

「働き続けたい。でも、また崩れるのが怖い」という本人の希望と不安の両方を軸に、体調の波と折り合いをつけながら通所リズムを整えることを当面の重点とする。事業所は作業量と休みを本人の体調に合わせて柔軟に扱い、訪問看護が服薬と生活リズムを支え、相談支援専門員が再発サインの共有ルールを整えて月1回状態を確認する。まずは半年、崩れても翌週にまた通える生活の土台をつくることを目指す。

方針欄の書き方の型・NG例・種別ごとの文例は、姉妹記事「総合的な援助の方針」の文例50選にまとめています。本記事では方針の文例はこの1例にとどめ、以降は意向・目標・サービス内容に絞ります。


文例集:意向・ニーズの書き方(7例)

アセスメントで聞き取った本人の言葉(生の声)を、①意向欄への記載、②解決すべき課題(ニーズ)にどう変換するかを7例で示します。生活状況(独居・家族同居・グループホーム・退院直後)とサービスを散らしています。太字にあたる具体部分は、目の前の本人の言葉に置き換えてください。

# 本人の言葉(聞き取り) 意向欄への記載(希望する生活) 解決すべき課題(ニーズ)
01 (退院直後・独居移行)「退院はできたけど、またすぐ入院に戻るんじゃないかと毎日不安」 地域での一人暮らしに慣れ、安心して過ごせるようになりたい 退院後の生活を支える体制を整え、不安が強まったときに頼れる関係をつくること
02 (独居・就労移行)「前に焦って就職して、続かなかった。今度こそ長く働ける仕事に就きたい」 自分に合った働き方で、無理なく長く働ける仕事に就きたい 自分の特性・必要な配慮を整理し、体調と両立できる就労の準備をすること
03 (家族同居・A型)「親に頼りきりなのが申し訳ない。少しでも自分で稼ぎたい」 雇用契約のもとで働き、収入を得て自信を持ちたい 決まった時間に働く生活リズムを整え、体調を保ちながら勤務を続けること
04 (グループホーム・自立訓練)「夜眠れなくて昼夜逆転してしまう。生活をちゃんと立て直したい」 昼に活動して夜に眠る生活リズムを取り戻したい 生活リズムを整え、日中の活動に参加できる状態をつくること
05 (独居・B型)「調子がいいと頑張りすぎて、あとで動けなくなって休んでしまう」 頑張りすぎず、自分のペースで通所を続けたい 体調の波に合わせて活動量を加減し、無理のない通所を続けること
06 (家族同居・居場所づくり)「人と会うのが怖い。でも家にずっといるのもつらい」 安心できる場所から、少しずつ人と関わる時間を持ちたい 本人が安心できる日中の居場所を確保し、対人の負担を段階的に広げること
07 (独居・訪問看護併用)「薬の副作用がつらくて、勝手にやめたくなるときがある」 体調について気軽に相談しながら、安心して暮らしたい 服薬や体調の不安を主治医・訪問看護に相談できる関係を持つこと

補足:例07のように服薬の不安が語られたときは、「服用をやめる/続ける」といった医療的判断を計画に書くのではなく、本人が主治医や訪問看護に相談できる関係を保つことを支援の課題として記載します。判断は本人と医療の間で行われるものだからです。


文例集:長期目標・短期目標(7例)

長期目標(1年程度)と短期目標(3〜6か月)のセットを、サービスと生活状況を散らして7例並べます。期間は目安です。どの短期目標も、体調の波の底でも達成を続けられる水準にしています。

目標例01|就労移行支援・独居(再発予防と自己理解)

  • 長期目標(1年):自分の不調のサインと対処法を人に説明できるようになり、自分に合った就職活動を進めている。
  • 短期目標(6か月):疲れやストレスがたまったときに出る自分のサインを3つ書き出し、支援者と対処法を確認する。

目標例02|就労継続支援A型・家族同居(勤務の継続)

  • 長期目標(1年):体調を大きく崩すことなく、週の決めた日数の勤務を続けている。
  • 短期目標(3か月):週3日、決めた時間に出勤し、休むときは事前に連絡できる。

目標例03|就労継続支援B型・独居(ペース配分)

  • 長期目標(1年):調子の波に合わせて作業量を自分で加減しながら、通所を続けている。
  • 短期目標(6か月):「頑張りすぎ」のサインに気づいたら、自分から職員に伝えて休憩をとれる。

目標例04|自立訓練(生活訓練)・グループホーム(生活リズム)

  • 長期目標(1年):昼夜逆転が改善し、日中の訓練や活動に安定して参加できている。
  • 短期目標(3か月):決めた時刻に起床し、午前中の訓練に週3回参加できる。

目標例05|地域移行・地域定着支援・退院直後独居(地域生活への定着)

  • 長期目標(1年):地域での一人暮らしに慣れ、困ったときに自分から相談できるようになっている。
  • 短期目標(6か月):週1回の訪問で、その週の出来事と困りごとを支援者に言葉で伝えられる。

目標例06|訪問看護併用・独居(体調の自己把握)

  • 長期目標(1年):体調の変化に早めに気づき、悪化する前に相談できるようになっている。
  • 短期目標(6か月):睡眠と気分を手帳に記録し、訪問看護と一緒に週1回振り返れる。

目標例07|就労定着支援・家族同居(就労後の継続)

  • 長期目標(1年):就職した職場で、必要な配慮を上司に相談しながら働き続けている。
  • 短期目標(3か月):月1回の面談で、職場で困ったことを支援者に共有できる。

文例集:サービス内容・留意事項(6例)

福祉サービス等欄は、種類・量に加えてなぜ本人に必要かと、精神障害特有の留意事項(調子が悪いときの手立て・再発サインの共有・就労と療養のバランス)まで書くと、支給決定の根拠になり、事業所も動きやすくなります。6例を挙げます。

サービス例01|就労継続支援B型(週4日・作業量調整可)/独居

体調の波で就労が続かなかった経験があり、無理のない範囲で働く場を確保するため。作業量は本人の体調に合わせて調整し、不調時は早退・休みを本人の申し出で認め、休んだ翌週の再開を責めずに支える。相談支援専門員が通所状況と睡眠の乱れを月1回確認する。

サービス例02|就労移行支援(当面は週3日から段階的に増やす)/家族同居

一般就労を希望しているが、過去に疲労から離職した経験があるため、通所日数を体調を見ながら段階的に増やす。再発のサイン(来所が減る・表情が硬くなる等)を本人・家族・事業所で共有し、無理が生じる前に日数や課題を見直す。

サービス例03|就労継続支援A型(週4日・雇用契約)/グループホーム

雇用契約のもとで働きたいという本人の希望を支えるため。繁忙期など負荷が上がる時期はストレスのたまり具合を職員が定期的に確認し、勤務時間の調整を早めに検討する。グループホームが服薬管理と生活リズムを支える。

サービス例04|自立訓練(生活訓練)+訪問看護/独居(退院後)

長期入院を経て地域生活を再構築する段階のため、生活スキルの再獲得を支える。焦りや不安が強まりやすい退院後の時期は相談支援専門員の関わりを厚くし、服薬や体調への不安は本人が訪問看護・主治医に相談できるようにする。

サービス例05|地域定着支援+訪問看護/退院直後・独居

退院直後で緊急時の連絡体制が必要なため。夜間・休日に不安が高まったときの連絡先を本人とあらかじめ確認し、再入院の分かれ目になりやすい初期のサインを本人・支援者・医療で共有する。

サービス例06|訪問看護(医療)+居宅介護(家事援助・週2回)/独居

意欲が低下したときに家事や食事が滞りやすく、生活の土台を保つ支援が必要なため。まずは療養を優先し、調子に応じてサービス量を柔軟に見直す。できることが増えたら段階的に量を減らす方向で計画を更新する(就労はその先の段階として見通しに置く)。


全体記入例|退院後の地域定着期のケース

ここまでの欄をつなげて、1枚のサービス等利用計画がどう仕上がるかを1ケースで示します。利用者名は仮名です。様式は自治体により異なりますが、記載する要素(意向・方針・目標・課題・サービス・役割・達成時期)は共通です。

  • 利用者:Eさん(30代・独居/退院後3か月)
  • 状況:精神疾患による長期入院を経て退院し、地域移行支援を利用してアパートでの一人暮らしを始めたところ。就労はまだ先の段階で、まずは生活の立て直しが課題。
  • 利用サービス:自立訓練(生活訓練)/訪問看護(医療)/地域定着支援

利用者及び家族の生活に対する意向(希望する生活)

(本人)「退院できたのはうれしいけど、またすぐ入院に戻るんじゃないかと毎日不安。まずは自分の生活を立て直して、落ち着いたら少しずつ働くことも考えたい」。夜眠れずに生活リズムが崩れがちなのが自分でも気になっている。(家族)「無理をして焦ってほしくない。困ったときにすぐ相談できる先があると安心」。

総合的な援助の方針

「またすぐ入院に戻るのが不安」という本人の気持ちに寄り添い、退院後の生活の土台を整えて地域での暮らしに慣れることを当面の重点とする。自立訓練が生活リズムと生活スキルの再獲得を本人のペースで支え、訪問看護が服薬と体調を支え、地域定着支援が緊急時の連絡体制を担う。相談支援専門員は再発サインの共有ルールを整え、焦りが強まる時期を見立てて関わりを厚くする。就労は本人の生活が安定してから、次の段階の目標として一緒に考える。

長期目標(1年):地域での一人暮らしに慣れ、困ったときに自分から相談でき、生活リズムが安定している。

短期目標(6か月):昼夜逆転が改善して午前中の訓練に週3回参加でき、週1回の訪問で困りごとを支援者に言葉で伝えられる。

解決すべき課題(本人のニーズ) 支援目標 福祉サービス等(種類・内容・量) 本人の役割 達成時期
退院後の生活を立て直し、リズムを取り戻したい 昼夜逆転を改善し日中活動に参加できる 自立訓練(生活訓練・週3日/生活リズムと生活スキルの支援) 決めた時刻に起きて訓練に通う 6か月
またすぐ入院に戻るのが不安 体調の変化に早めに気づき相談できる 訪問看護(週1回/服薬・体調の確認と相談) 睡眠と気分を手帳に記録する 6か月
困ったとき、すぐ相談できる先がほしい 緊急時に頼れる関係を持つ 地域定着支援(随時の相談・緊急時対応) 不安が強いとき連絡する 随時
落ち着いたら働くことも考えたい 生活が安定してから就労を検討する (当面は上記で土台づくり。就労系サービスは次の段階で検討) やりたい働き方を言葉にしていく 随時見直し

このケースのポイントは、本人の「働きたい」を否定せず、今の重点は生活の立て直しに置くという順序を計画で明示していることです。就労を「次の段階の目標」として残すことで、本人の希望を支えながら再発を防ぎます。


精神障害の計画で気をつけたいこと

最後に、精神障害の計画で外しやすい点を短くまとめます。

  • 診断名から決めつけない:「◯◯だからできない」ではなく、「どんな場面で、どんな配慮があれば本人が何をしやすいか」という支援の文脈で書きます。同じ診断でも本人の状態と希望は一人ひとり違います。
  • 服薬に医学的な指示を書かない:計画に書くのは「本人が服薬や体調の不安を医療に相談できるようにする」という支援であって、薬の増減や中止といった医療的判断ではありません。
  • 文例は丸写ししない:本記事の文例も「型」です。本人の言葉・具体的な生活場面・現実的な数字に置き換えてこそ、本人の生活が見える「通る計画」になります(丸写しは運営指導で個別性の欠如として指摘されうる点はハブ記事で解説しています)。
  • 希望と療養の順序を計画に残す:本人が就労を急ぐときも、「就労を目指さない」ではなく「崩れずに就労へ近づく」段階を目標として言葉にします。

本記事の制度に関する記述は2026年7月時点の情報を基にしています。モニタリングの扱い・様式・支給決定変更時の運用は自治体により異なる場合があります。最新の取り扱いは、各市町村・都道府県の公式情報をご確認ください。

よくある質問

精神障害の方の病状が悪化したとき、計画はどう見直せばいい?

まずはサービスの利用を止めるのではなく、計画に組み込んでおいた「調子が悪いときの手立て」(早退・休みの扱い、連絡先、頼り先)が実際に機能しているかを確認します。そのうえで、療養を優先して通所日数や作業量を一時的に下げる、訪問看護や医療の関わりを厚くするなど、サービスの種類・内容・量に変更が必要なら計画変更とモニタリングで見直します。病状の変化は再発サインの共有ルール(本人・家族・事業所・医療で「どうなったら誰に連絡するか」)を先に決めておくと、悪化の初期に動けます。支給決定の変更でサービスの内容・量が大きく変わる場合のモニタリングの扱いは自治体により異なるため、市町村や受給者証で確認してください。

本人が「早く就職したい」と焦っているとき、目標はどう立てればいい?

本人の「働きたい」という希望は計画の軸にしつつ、その希望を否定せずに段階へ分けます。長期目標に「就労」を置き、短期目標を体調の波の底でも達成を続けられる水準(例:週の通所日数、疲れのサインに気づいて休憩をとる、など)に設定すると、焦りと療養の両立ができます。「就労を目指さない」ではなく「崩れずに就労に近づく」道筋を目標として言葉にするのがポイントです。本人・家族・事業所で就労までの見通しと期待値をそろえておくと、途中で無理が生じにくくなります。

主治医や医療機関との連携は、計画にどう書けばいい?

「医療機関と連携する」とだけ書くのではなく、誰が・どんな情報を・どんな場面で共有するかを具体的に書きます。たとえば「服薬や体調についての不安は訪問看護と主治医に相談できるようにする」「再発のサインが出たときの連絡経路を本人・家族・事業所・医療で共有する」のように、役割と場面を示します。相談支援専門員が医療的な指示や判断をするのではなく、本人が医療につながり続けられるよう橋渡しする立場である点を踏まえて記載します。

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